仕事を辞めたあとは、次の仕事までの生活費が気になります。 パートや契約の仕事でも、条件を満たせば、雇用保険から「基本手当」を受けられます。 いわゆる失業手当のことです。
先に結論
- 自分は対象? すぐに働ける状態で仕事を探していて、雇用保険に入っていた期間が足りていれば対象です。期間は原則、辞めた日より前の2年間に通算12か月以上です。
- いつ入金される? 辞めてすぐには入りません。ハローワークで「失業の認定」を受けたあと、通常5営業日で振り込まれます。正当な理由なく自分の都合で辞めた場合は、さらに原則1か月、支給の対象にならない期間があります。
- まず何を用意する? 辞める前に、雇用保険被保険者証があるかと、会社が出す書類の離職理由を確かめます。
この記事は、辞めた日に65歳未満の人向けです。 2026年9月25日時点の内容です。 制度は変わることがあるので、手続きの前に公式の案内を見直してください。
自分は受けられる?
受けるための条件は、大きく2つです。
すぐに働ける状態で、仕事を探している?
基本手当は、「失業の状態」にある人に支給されます。 失業の状態とは、働く意思と能力があり、仕事を探しているのに、仕事に就けない状態です。
次のようなときは、受けられません。
- 病気やけがのため、すぐには働けない
- 妊娠・出産・育児のため、すぐには働けない
- しばらく休養しようと思っている
- 家事に専念していて、すぐには働けない
すぐに働けない人も、あとで受けられるよう、期間を延ばす方法があります。 下の「すぐに働けないときは?」で説明します。
雇用保険に入っていた期間は足りている?
まず、雇用保険に入っていたかを確かめます。 入るのは、31日以上続けて雇われる見込みがあり、1週間の所定労働時間が20時間以上の人です。
入っていたかは、「雇用保険被保険者証」で分かります。 手元にないときは、勤務先に聞くか、ハローワークに照会できます。
加入の条件は、次の記事にもまとめています。
「パートやシフト制で働くとき、社会保険の加入対象かを公式の条件から確かめる」 https://15manlife.work/posts/part-time-social-insurance-check/
必要な期間は、原則として辞めた日より前の2年間に、通算12か月以上です。
次の人は、辞めた日より前の1年間に6か月以上でもかまいません。
- 倒産・解雇などで辞めた人(特定受給資格者)
- 契約が更新されなかった人など、やむを得ない理由で辞めた人(特定理由離職者)
「12か月」「6か月」は、在籍した月の数とは限りません。 数え方は次のとおりです。
- 辞めた日からさかのぼって、1か月ごとに区切ります。
- 給料の支払いの基礎になった日が11日以上ある月を、1か月と数えます。
- 11日以上の月が足りないときは、基礎になった時間が80時間以上の月を1か月と数える扱いもあります。
シフトが少ない月は、1か月に数えられないことがあります。
65歳以上の人や、季節の仕事の人は?
別の給付になります。
- 辞めた日に65歳以上の人は、「高年齢求職者給付金」です。基本手当とは違い、一時金としてまとめて支給されます。加入期間の条件や金額の決め方も違うため、この記事の辞め方の比較は当てはまりません。
- 季節的な仕事に期間を決めて雇われていた人は、「特例一時金」という別の扱いです。
出典:1、3、4(番号は記事の最後の「出典」に対応)
辞め方で何が変わる?
辞め方によって、必要な加入期間、給付制限、受けられる日数が変わります。 給付制限とは、待期の7日間が終わったあと、さらに支給の対象にならない期間です。 待期は、下の「お金はいつ入る?」で説明します。
次の表は、辞めた日に65歳未満の人の場合です。
| 辞め方 | 必要な加入期間 | 給付制限 | 受けられる日数の目安 |
|---|---|---|---|
| 自分の都合で辞めた(正当な理由がない場合) | 2年間に12か月 | 原則1か月 | 90〜150日 |
| 体調や家族の事情など、正当な理由がある自己都合 | 1年間に6か月でも可 | なし | 90〜150日 |
| 契約期間の満了(更新を希望しなかった場合など) | 2年間に12か月 | なし | 90〜150日 |
| 更新を希望したのに、契約が更新されなかった | 1年間に6か月でも可 | なし | 倒産・解雇などと同じ扱い(辞めた日が2027年3月31日までの場合) |
| 倒産・解雇など | 1年間に6か月でも可 | なし | 90〜330日 |
表の補足です。
- 給付制限の「原則1か月」は、辞めた日が2025年4月1日以降の場合です。
- 5年間に2回以上、正当な理由のない自己都合で辞めて、受給資格の決定を受けていることがあります。この場合の給付制限は3か月です。
- 一定の教育訓練を受けた場合、給付制限が解除される仕組みもあります。
- 契約が更新されなかった人でも、倒産・解雇などと同じ区分になることがあります。更新されて3年以上働いていた場合や、契約のときに「更新する」と明示されていた場合です。
- 日数は、辞めたときの年齢と、雇用保険に入っていた期間で決まります。細かい日数は、ハローワークの表で確かめます。
どの区分になるかは、ハローワークが判定します。 会社と本人、それぞれの主張を資料で確かめたうえで判定します。
ハローワークの手続きのページには、給付制限を「2か月」とする改正前の記載が残っています。 今の給付制限は、上の表と補足のとおりです。
更新しないと言われた段階で、契約の書面や予告の基準を確かめたいときは、次の記事へ。
「有期契約の更新をしないと言われたとき、公式で先に確認すること」 https://15manlife.work/posts/fixed-term-nonrenewal-checks/
出典:1、2、3、5、6、7
お金はいつ入る?
お金が入るのは、ハローワークで「失業の認定」を受けたあとです。 認定の日から通常5営業日で振り込まれる、とハローワークは案内しています。 休日や年末年始をはさむと、遅れる場合があります。
手続きの流れ
手続きは、辞めたあとに会社から届く離職票を持って始めます。
- 住所を管轄するハローワークで、求職の申込みをして、離職票を出します。受給資格が決まり、離職理由もここで判定されます。
- 受給資格が決まった日から、失業の状態が通算7日たつまでが「待期」です。この7日間は支給されません。
- 雇用保険の説明会に出ます。最初の「失業認定日」は、ここで知らされます。説明会が待期の後になる場合もあります。
- 正当な理由なく自分の都合で辞めた場合は、待期のあとに給付制限の期間があります。
- 認定日にハローワークへ行き、「失業の認定」を受けます。認定は原則4週間に1回です。仕事を探した実績が必要です。
- 認定を受けた日数分の基本手当が、指定した口座に振り込まれます。
支給の対象になる日と、入金の日は違います
支給の対象になる日は、次の時点から始まります。
- 給付制限がない場合:待期の7日間が終わった後から
- 給付制限がある場合:給付制限の期間が終わった後から
どちらの場合も、その日にお金が入るわけではありません。 辞めてから8日後に振り込まれる、ということでもありません。 お金が入るのは、そのあと認定日に認定を受けてからです。
生活費は、最初の入金までの分を見込む
生活費は、辞めた日から、最初の振込が見込まれる日までの分を見込んでおきます。 待期や給付制限、最初の認定日までの日数は、重なる部分があります。 一つずつ足しては数えません。
受給資格が決まったときと、そのあとの説明会で、ハローワークに次のことを確かめます。
- 最初の認定日はいつか(人によって違います)
- 最初に支給の対象になるのは、いつからいつまでの分か
- 振込はいつごろになりそうか
必要な生活費の考え方は、次の記事にまとめています。
「手取り15万円の仕事を休んだ時、必要な収入を考え直した」 https://15manlife.work/posts/minimum-income-line/
受けられるのは、辞めた翌日から1年間
受けられる期間は、原則として辞めた日の翌日から1年間です。 この期間を過ぎると、日数が残っていても受けられません。 手続きは早めにします。
出典:2、3
まず何を用意する?
辞める前に確かめること
- 雇用保険被保険者証があるかを確かめます。
- 会社がハローワークに出す「離職証明書」には、辞める前に本人が名前を書くことになっています。離職理由の欄を読んでから書きます。
- 更新を希望していたなら、そのことが分かるメールや書面を残しておきます。
離職票や離職理由で困ったら
住所を管轄するハローワークに相談します。
- 離職票が届かないとき
- 離職理由に納得できないとき(たとえば、実際は退職を勧められたのに、自己都合とされている場合)
ハローワークが事実を調べたうえで、離職理由を判定します。
ハローワークに持っていくもの
- 離職票-1と離職票-2
- 前の職場の離職票があれば、短い期間のものも含めて全部
- マイナンバーカード
- マイナンバーカードがない場合は、個人番号が分かる書類と、身元を確認できる書類
- 写真2枚(縦3.0cm×横2.4cm)
- 本人名義の預金通帳かキャッシュカード
写真は、手続きのたびにマイナンバーカードを見せる場合は省略できます。
受付は平日の8時30分から17時15分です。 求職の申込みには時間がかかるため、16時前の来所が勧められています。
出典:2、3
1日にいくら受けられる?
1日あたりに受けられる金額を「基本手当日額」といいます。 決まり方は次のとおりです。
- 辞める前の6か月に、毎月決まって支払われた賃金を合計します。ボーナスは含みません。
- この合計を180で割った金額を「賃金日額」といいます。
- 基本手当日額は、賃金日額のおよそ50〜80%です。60歳から64歳の人は、およそ45〜80%です。
- 賃金が低い人ほど、高い率になります。上限額と下限額もあります。
この記事では、具体的な金額は計算しません。 自分の金額は、ハローワークで確かめてください。
出典:1
すぐに働けないときは?
病気やけが、妊娠・出産・育児、家族の介護などで、30日以上働けない状態が続くことがあります。 その場合は、受けられる期間(受給期間)を延ばせます。
延ばせるのは最長3年間です。 健康保険の傷病手当金を受けている場合も含まれます。
申請は、働けない状態が30日を過ぎてから、早めに行うのが原則です。 申請が遅いと、日数の全部を受けられない可能性があります。
申請先は、住所を管轄するハローワークです。郵送や代理人でもできます。
休んでいる間の生活費の分け方は、次の記事にまとめています。
「傷病手当金の申請前に、生活費を二つの期間に分けて考える」 https://15manlife.work/posts/sick-pay-living-gap/
出典:1、3
受けている間に気をつけることは?
- パートやアルバイト、手伝いなどで働いたら、失業認定申告書で申告します。申告しないと不正受給になり、厳しい処分があります。
- 早めに安定した仕事に就いたときは、「再就職手当」を受けられることがあります。条件があるので、ハローワークで確かめます。
出典:2、3
どこに相談すればいい?
- 受けられるか、離職理由の判定、受給期間の延長:住所を管轄するハローワーク
- 雇用保険に入っていたか:勤務先、またはハローワークへの照会
- 契約の更新や、辞め方をめぐる職場とのトラブル:総合労働相談コーナー
- 国民健康保険料の軽減:お住まいの市区町村の国民健康保険の担当
国民健康保険料の軽減は、特定受給資格者か特定理由離職者として基本手当を受ける人が対象です。届け出が必要です。 総合労働相談コーナーは、各都道府県労働局や、全国の労働基準監督署の中などにあります。
出典:3、8、9
この記事では分からないこと
次のことは、この記事では答えを出せません。
- 自分がどの区分になるか
- 1日あたりの金額と、実際に受けられる日数
- 最初の振込が、辞めてから何日後になるか
- 派遣で働いていた場合の、細かい扱い
- 健康保険と年金の切り替え
あわせて読みたい記事
辞めたあとに何を確認するか、考えを分ける方法です。
「仕事を辞めたあと、何を確認すればいいかGPTと一問ずつ整理した」 https://15manlife.work/posts/after-quitting-gpt-checks/
契約期間や更新の欄を、書面で見るときの記事です。
「シフト制で働く前に、労働条件の書面で先に見る項目」 https://15manlife.work/posts/work-conditions-notice-checklist/
休む・辞める前後の記事の一覧です。
「悩みから読む」の「休む・辞める前後に確認する」 https://15manlife.work/entries/#career
出典
この記事は、次の公式の案内をもとにしています。 番号は、各見出しの終わりの「出典」の番号です。
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基本手当について|ハローワークインターネットサービス 失業の状態、加入期間とその数え方、更新されなかった人の日数(2027年3月31日まで)、1日あたりの金額、受給期間の延長 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html
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雇用保険の具体的な手続き|ハローワークインターネットサービス 手続きの流れ、待期、説明会、認定と振込(通常5営業日)、辞める前に確かめること、持ち物と受付時間、離職理由の相談、働いたときの申告 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_procedure.html
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離職されたみなさまへ|厚生労働省・ハローワーク(PDF) 65歳以上の人と季節の仕事の人の給付、加入期間の数え方、日数、給付制限、区分の判定、支給の開始(4ページ「⑧支給の開始と期間」)、受けられる期間、持ち物、受給期間の延長、再就職手当、国民健康保険料の軽減 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000951119.pdf
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雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!|厚生労働省 雇用保険に入る条件、入っていたかの確かめ方 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147331.html
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特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要|ハローワークインターネットサービス 辞め方の区分(契約が更新されなかった場合、3年以上の更新や更新の明示があった場合、正当な理由がある自己都合) https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_range.html
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基本手当の所定給付日数|ハローワークインターネットサービス 受けられる日数の表 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html
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令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます|厚生労働省 給付制限(原則1か月、5年間に2回以上は3か月)と、教育訓練による解除 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00045.html
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都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧|厚生労働省 ハローワークや労働局の所在地 https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shozaiannai/roudoukyoku/
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総合労働相談コーナーのご案内|厚生労働省 総合労働相談コーナーの場所 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html
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